No.108 (英ヴィクトリア時代とイタリア統一) :
「イタリア統一の『上から・下から』の成功とは何か?」
民衆(「下から」)の動きとしては、仏の墺との単独休戦という裏切りに対
してナショナリズムを高揚させた中部イタリア諸国のサルデーニャ王国への
自発的併合と、共和主義的な「青年イタリア」のガリバルディが両シチリア
王国を占領してサルデーニャ王(ヴィットーリオ=エマヌエーレ2世)に献
上したこと(1860年)。サルデーニャ王と首相カヴールによる政府主導(
「上から」)のものとしては、イタリア統一戦争でロンバルディアを取得
(59年)したことと、前述の『下から』の成功を受けて翌1861年にイタリア
王国を成立させたこと。
<評価の観点>
関心・意欲・態度:
西ローマ帝国の滅亡以来、長く政治的な分裂を続けたイタリアが、19世紀後
半になってようやく統一されて現在に到ることについて、大きな関心を持ち
ながら学習に臨んでいる。
思考・判断:
「上から」とはサルデーニャ政府や首相カヴール主導の統一運動を、「下か
ら」とは青年イタリアのマッツィーニやガリバルディを含めた広く民衆を中
心としたそれを表すものであることを理解し、イタリア統一に明確に見られ
る両者について、的確に判断している。
資料活用の技能・表現:
イタリア半島を中心とした歴史地図から、オーストリアやフランスとの国境
線の変化やその背景となった出来事を読み取っている。
知識・理解:
1861年の王国成立に到るまでのイタリア統一の過程について、オーストリア
との戦争や強い影響力を持つ隣国フランスとの外交を中心に、基本的な知識
を身につけている。